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医療ブログ アナフィラキシー_第3回(全4回)

皆さんこんにちは!
植毛医の髙平です。

今回は「アナフィラキシーショックとは?」の3回目です。

1回目はアナフィラキシーショックについて簡単に書かせていただきました。

2回目は、アナフィラキシーショックを「未然に防ぐには?」として書いています。

詳しくは2回目のブログを見てください。

今回(3回目)はその中の「3.もしもの時に備えて準備をする」についてです。

可能性は極めて低いですが、医薬品等が原因となるアナフィラキシーショックは、手術中にも起こりえます。

手術を安全に受けていただくため、もしもアナフィラキシーショックが起こった場合に備えて、実際に私達のクリニックで準備しているものを一つ一つ解説していきます。

1. モニター機材

手首の脈拍が触れない状態だと、それだけでショック状態という事が疑われます。
ですがモニターにより脈の速さや血圧を持続的に知る事ができると、患者さんの体の状態を把握しやすくなります。

2. 薬剤(エピネフリン)

アナフィラキシーショックで、もっとも大切な治療薬です。アドレナリンとも呼ばれ、こちらの方が皆さんにはなじみがあるかと思いますが、全く同じ薬剤です。必要な場合には、このエピネフリンを遅滞なく筋肉注射で0.3㎎を注入します。

またステロイドも大切な治療薬の1つです。
重篤なアナフィラキシーの場合に、発症6~8時間後に起こり得る症状の悪化(再増悪)を防いでくれます。

3. 輸液(点滴)

アナフィラキシーは、免疫系の異常により血管が緩み、血管内の水分が血管の外に漏れ出て、心臓が血液を全身に効率よく送れない状態です。そのため、水分(輸液)を血管内に入れる事は治療につながります。
それでは、どのような場合に、アナフィラキシーショックを疑い、エピネフリンを筋肉注射するのでしょうか? 

アナフィラキシーとは、例えるならば外敵に対して免疫系(軍隊)が異常に反応(アレルギー反応)する事で起きる事(病態)です。
したがって、アナフィラキシーが起きる前には必ず外敵の侵入(たとえば蜂に刺される、やコロナワクチンの接種などの原因物質への暴露)があります。

この原因物質への暴露から5分から30分以内に症状は起きる事が多いと言われています。

それにより全身の臓器に様々なアレルギー症状が引き起こされます。

皮膚には蕁麻疹がみられ赤っぽく(紅潮や発疹)見え、唇や舌が腫れたりします。

呼吸器(気道や肺)では気道が狭くなり、呼吸がしにくくなります。空気の通り道の粘膜が腫れる事によって、酸素の交換を上手く行えなくなるからです。気管支喘息の時のようにゼーゼーする呼吸の音(喘鳴)が聞こえ、顔色が悪くなる事もあります。

循環器(心臓や血管)では、血管が広がり、血管の水分が血管の内側から外側に漏れ出ていきます。

全身に必要な血液を送り出そうとポンプの役割をしている心臓は頑張り、脈拍は増えて頻脈となります。
このような場合に血圧を測定しますと、血圧は低下し、手首の脈拍も触れにくくなります。

このような症状がある場合にはアナフィラキシーが強く疑われます。

バイタルサインをチェックし、血圧は低下し(例:70/50)、脈拍は120(頻脈)となっていれば、「アナフィラキシーショック」の診断です!! 

この時、エピネフリンの注射をなるべく早く投与する事が治療成功のカギと言われております。

それでは、医療機関ではない所で、このような症状が起きる場合、起きる事が予測される場合にはどうすれば良いのでしょうか。
医師の処方のもとに、エピネフリンを携行する事が出来ます。

次回に、続きます。