ドクターブログ
AGA治療薬の個人輸入をお勧めできない理由
こんにちは。ヘアー&スキンクリニック新宿院の院長の高平一成です。
患者さんの質問でとても多いのが「個人輸入のお薬を飲んでいるのですが、本当にそれで良いのでしょうか?」というものです。
今回はAGA治療薬の個人輸入をお勧めできない理由についてみていきます。
AGA治療薬の個人輸入をお勧めできない6つの理由
AGA治療薬の個人輸入はリスクを十分に考えた上で慎重に判断してください。
以下にAGA治療薬を個人輸入して服薬することをお勧めできない理由をあげます。
- 製造工程、製造環境が不明
- 用量表記が不正確
- 健康被害の責任の所在が不明確
- 経過観察ができず効果が実感しづらい
- 血液検査ができないため、体に異変が起きても分からない
- 金銭的な理由から始める方が多いが、何よりも健康を優先して考えるべき
このようにAGA治療薬を個人輸入で購入して服薬することをお勧めできない理由は多くあります。
それでは、お勧めできない理由をくわしく解説していきます。
製造工程、製造環境が不明
本来、薬は清潔な環境で、精製されたきれいな水を使って作る必要がありますが、往々にして海外の個人輸入の薬はそのような環境で作られていない場合があります。
不適切な環境で製造された薬を服薬して、皮膚に異変が起きたり、蕁麻疹・アレルギーが起きて、来院する患者さんもいます。
用量表記が不正確
例えば、包装容器の箱にはフィナステリド1mgと書かれているのに、正確には1mgは入っていないという事例があります。
用量が正確でないと、フィナステリドがターゲットとしている5αリダクターゼを正確にブロックできず、AGAが進行してしまいます。
AGA治療薬は飲んでいるけれど、AGAの原因となる5αリダクターゼに効果を発揮する用量を摂取していないため、効かないという結果になります。
健康被害の責任の所在が不明確
個人輸入のAGA治療薬を服薬して何か体に違和感のある症状を感じても、それを訴えられるところはありません。
個人輸入の代行業者は、薬の品質に関してはあくまでも自己責任で行ってくださいというスタンスです。
どこかの病院で健康被害を訴えても、原因が究明できない場合もあります。
経過観察ができず効果が実感しづらい
個人輸入の薬を自己判断で服薬することは、医師の判断や適切なアドバイスもなく、治療に大切な要素が抜け落ちた状態なのでお勧めできません。
当院では薬のみ処方の場合でも、毎回決められた条件で12枚の写真を撮影しています。
写真を撮ることによって本人では分からないような微妙な変化、例えば「ここに少し髪が生えてきた」「分け目が細くなった」というような変化を写真が客観的に教えてくれる場合があります。
毎回写真を撮影することが、毎日きちんと薬を飲もうという動機付けにもつながります。これにより、服薬効果も発揮されていきます。
これは服薬コンプライアンスと言いますが、内服治療ではとても大切な要素の一つです。
血液検査ができないため、体に異変が起きても分からない
投薬する場合には、きちんと体調の変化を観察しなければなりませんが、個人輸入の薬だと個人では体内の変化を定期的に調べる方法がありません。
全ての方ではないのですが、投薬により肝臓に負担がかかってしまう場合がありますので、当院では最低でも6か月から1年に1回は採血を行い、肝臓に問題がないかを調べたうえで投薬しています。
個人輸入の薬に頼っている方は、このような視点が欠落していますので、何か肝臓に異変が起きていてもそれをいち早く知ることができません。薄毛の治療で肝臓に問題が生じると、元も子もないと思います。
ご自身の体の中に薬が入るわけですから、きちんと診る必要があります。
金銭的な理由から始める方が多いが、何よりも健康を優先して考えるべき
個人輸入の薬を始めた理由として「安いから」という動機が多く見られますが、医師の処方ではない薬を服用して健康被害が起きる可能性を無視するのは危険です。
お金はとても大切なものですが、自分の健康を犠牲にして、さまざまなリスクを含んでいる可能性がある海外の薬を輸入して服用する必要が本当にあるのでしょうか。
一時的な体調不良ならまだしも、さまざまな疾患や後遺症を発症する可能性がゼロではありません。
個人輸入したAGA治療薬を服用する危険性
AGA治療薬の個人輸入を始めようとする場合には、リスクを十分に考えた上で慎重に判断してください。
上記に上げた個人輸入したAGA治療薬服用に関する多くのリスクと、専門の医療機関で医師の正しい判断のもと治療を受けることとどちらが安全であるかは明白です。